「翔、何するの?」
「全部見てたよ。
つまんねぇ男で
悪かったな!
俺らはもう終わりだ。」
「翔、それは違うの。
私、翔が好きなの。
お願いそんなこと言わないで。」
「悪いけど俺、そんな
お人よしじゃないんだ。
それに俺、
他に好きなやつできたから。」
翔くんは私の肩に腕を回した。
「なんで?
そんな女のどこがいいの?」
「春は俺が辛いとき
いつも傍にいてくれた。
俺のことなのに
一緒に泣いてくれたんだ。
お前もさっき見ただろ?
お前のことムカつくはずなのに
俺のために我慢してくれた。
正直、ついさっきまでは
お前のことが好きだった。
でも、気づいた。
俺の大事な人は春だって。
だから、俺たちもう別れよう。」
その場で泣き崩れる咲さん。
翔くんは私の手を掴むと
店の外へと向かった。
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