「お母さんに…聞いてみます。」
そういうと…幹斗はやっと離してくれた。
恥ずかしいから先に乗ってと車に押し込んで…
「もしもし」
『恵子? 遅くなるの?御飯食べれそう?』
「心配かけてごめんね。
今日は御飯いらない。
それから………」
なんとなく嘘をつきたくなかった。
でも…幹斗の家に泊まる…なんて……いっいっ言えないかも。
『日曜日の夜には帰ってきなさい。
ちゃんと仲直りしたとこ
お父さんとお母さんにみせてね。
日曜日は幹斗くんの好きなお肉にするから』
「なんで…」
何も話してなかった。
別れたと言った後からずっと。
何も聞いてこなかった。
食べられなくても。
眠れなくても。
『何度か家の前で幹斗くんに会ってるわよ。
達也も何回か言ってたわ。
『あんないい人いないのに、姉ちゃんいつまでも何やってんの』って。
幹斗くん。一目見たいだけだからすいませんって
恵子…大事なもの見失わないで良かったね。』
言葉にならなかった。
涙がとまらなくなって…
うん…とだけ言って電話を切った。

