「しかし…お前…異常に部屋キレイだな。

さっきの話と違うじゃん。

やりまくってた女にさせたの?」

どうしても、他の女と寝る気分じゃないときがあった。

恵子がいた部屋に帰りたい時があった。


「いや。ここには入れたことないです。


家に帰っても眠れないから、掃除するんです。


大概、夜中だから掃除機はかけられなくて…

松居棒とか作って」


大笑いされた。
『松居棒って…なんだよー』
とかいいながら。

「で…そのTシャツは志賀の忘れ物なの?」


ずっと抱え込んでたら…ばれるか

「本格的にストーカーなんです。

家にいると、いっつもこれ抱っこして、忘れてった雑誌みてる。」


「忘れようとしてる?

諦めようとしてる?」



「一度、林に言われたことがあるんですよ。」


「林泉?」


「はい。
『俺に…恵子はもったいない』って。

あまりに鈍感過ぎて…俺といると恵子は不幸になる。

そんな気がするんです。」


「んなの。気のせいだ。


志賀が他の奴の隣で笑ってたら、お前幸せ?

お前はどうやったら幸せになれんの?
頭じゃなくて、心で動け。

さっきちょっとだけでも見たいって思ったの、心が動いたからだろ。


ストーカーでもいいじゃん。今んとこ、志賀に迷惑かかってないから。


志賀…お前が振ったって、志賀お前のことずっと好きだったじゃん。


お前には出来ないの?
志賀に出来ること。」



「とりあえず当たって砕けてから、考えろ」