学校の周りは閑静な住宅街で、ところどころに寂れた店があるくらいである。
夜になると住宅街は静寂に包まれ、不気味な空気が流れる。


日が沈みかけている頃、学校を出て、見慣れた公園を通り過ぎ、家と家の細い裏道を抜け、いつものバス停に辿り着いた。



杏は、滲み出る汗をお気に入りの赤いタオルで拭きながらバスを待っている。



「バスまだぁ??」



気が短くせっかちな杏はいつものようにぐちぐち言っていた。



ブロロロロブロッブロッキキーッ



プシュー



車もあまり通らないこの道ではバスの走る音が妙に大きく聞こえる。


「もう遅い〜!何分待ったと思ってんのよ!ちょっと陸!運転手に街まで飛ばしてって行ってきて!」



また無理難題を言っている


杏はいつも冗談なのか本当なのか分からないことを突然言いだす。



「無理に決まってるだろ。」


「なんで〜!けち!」



。。。!



なんだこの理不尽さは



そういつも思いながらも付き合っている自分も自分だが


「まぁすぐ着くから待ってな」