『なんでですか?前に言ってたじゃないですか。アルベルトは絶対悪だって。』
 ジャスティンが言う。
『でも…』
 ナナはうつむく。

そうだよな、そりゃあ。

でも…

希望を持ってしまうよな。

好きだったんだもんな。

ずっと。

ずーっと。

『わかった。調べてみよう。』
『コウ…ありがと。』
『しかたないですね。』
 ため息をはくジャスティン。

内心はホントに調べたくないだろうな…

なにせ、もし、アルベルトが…

と思うとね。

『その前に私とデートしてね。』
 と雅。
『あ、ああ。』
 それにしても…

美人すぎる…

狐なのに。

『やったっ。いこいこ。』
 雅が腕を組んでくる。

やべぇ…

ドキドキする…

落ち着け、俺。

相手は狐だ。

『ナナ、悪い。』
『お父様が大丈夫だったのも、雅のおかげだし。楽しんできて。』
 ナナは手を振ってくれる。

俺と雅は歩き出した。