『だいたい、なんで下の連中をわざわざ呼んだんだ。』
 ちなみに、こいつは俺より、はるかに強い。

距離をつめることすらできない。

『アルベルトに惨敗したじゃない。』
 ピシッと言い放つ。

なんか、ジャスティンに対しては、ナナは厳しい。

昔、変なことでもされたんだろうか。

『だが、こいつよりはまともに戦える。』
 たしかに。
『何年も一緒にいて、何度も挑んだのに、1回も勝てなかったの、覚えてないの?』
 さらに追い討ち。
『次は勝つ。前より、さらに強くなった。』
『いつも同じこと言うじゃない。それに、銃じゃ勝てないわ。勝てるとしたら、近距離武器だと思うの。』
『まあ、次に攻めてくるときが楽しみだな。』
 次に攻めてくるってのは、ここ、ネイチャー・クラウピアの王殺害、つまり、ナナの父親を殺しに来るときだ。

すると、証をもつ、アルベルトに王位が継承されるからだ。

『嫌なこと言わないでよ!』
『だが、時間はなさそうだってのはわかってるだろ?』
『………』
 時間がないのか…

なら、俺は…

もっと、もっと、はやく、強くならなきゃいけない。

俺は双剣を手に持つ。

『踏み込み右上げ!』
 また踏み込み…
『さらに左上げ!』
 左足を軸にして回転して…
『双閃撃!』
 双剣を平行に突き上げる。
『ナナ嬢の兄貴はそんなの、5歳でできたぞ。』
 ジャスティンはそういい残して、膝まである黒いコートを翻し、歩いていった。

ムカつく…

けど。

やるしかない。

『円斬!』
 回転しながら、攻撃する技だ。