家に着くなり壁に
掛けられたカレンダーに
目がいく


それが私の毎日の日課に
なっていた



―…あと6ヶ月か…―



気が抜けるようなため息
をつきながら窓から覗く
月を見上げていた



私の用意された家は
あの土手道からすぐの所

私は窓を開け土手道を
眺めた



私は―……

あの場所で育ち
あの草木達と一緒に
咲いていた一りんの花。


あの時周が私に話し
かけてなかったら…

私を見つけてくれて
いなかったら…



今も私はあそこで咲いて
いる花だったんだろう


私達の出逢いは必然
なのかな…?



それともただの偶然?




私は―………







運命だと信じたい…―




そんなことを考えて
いると窓の外で何か光る
ものが見えた



何だろう…


私は玄関に向かいドアを
開けた


するとそこには
いくつもの光が辺りを
照らし飛んでいた



光る……虫?!



その光る虫達が飛んで
いく方へ歩いて行くと
あの土手道に着いた


土手道の脇にある川で
たくさんの光る虫達が
集まっている



「わぁ!キレイ…!!
何だろう…この虫達」

「ホタルだよっ」



!!!


振り返るとホタルを眺め
ながら立っている
周がいた


「ビッビックリした…
どうしてここに?」


「お前こそ何してんだよ
こんな時間に」



「私の家の近くまでこの
虫が飛んでたから…
追いかけてきたらここに
着いたの。」


「ふーん。」



「まっ周は?何でここに
いるの?」



「あ―…ちょっと呼び
出されたんだよ」


「そっそう…」


―もしかして…

池上さん…かな…―



聞く勇気もなく動揺を
隠しながら答えた




この場所で二人でいた事
何度かあったけど


暗くなってから二人で
いるのは初めてだ


そして

制服じゃない周を
見るのも…



辺りは暗く数少ない
街灯と

ホタルの放つ輝きが
二人を照らしていた