少しはイラっとくるけど、生活費がほしいために、ここでの怒りの感情はなかったように抑え込む。






「あたしはいつでも先が見えない闇に追われてるよ。」



「はぁ、なんだそれ?」





お金にも恵まれて、愛につつまれてそうな名前のわからない男は、意味がわからなそうにこっちを向く。




その姿にあきれて、あたしは今度気が沈むような深いため息をつく。





「いいの、君にはわからなくて。」





あたしがそう言うと、名前のわからない男はもっとわからなそうにこっちを見つめる。





あたしのあきれ顔に気付いたのか、もう話しをしなくなった。




シーンとした空気がホテルの一室にながれて、あたしは耐え切れなくなる。




「あ、そろそろ時間だ。今日のぶんのお金、くれる?」





あたしが淡々と言うと、名前のわからない男はいつもどうり高そうな高級ブランドの財布から、お金をだす。



それを受けとりながら、自分のお財布に入れてながれるように一言お決まりの言葉をいう。


「ありがと、またよろしくね」




言葉には感情なんて入ってないけど、最高の笑顔を相手に向けて部屋のドアを出ていった。