「…くるみ?」
聞きなれない低い声があたしを呼ぶ。
その声にハッとして、もとの自分に戻す。
「あぁ、ごめん。そこの水とって」
思い出したくない過去ーーーー…。
なのにどうも最近は思い出してしまう。
「はぁ…。」
軽くため息をつきながら、あたしはとってもらったミネラルウォーターを口に含む。
さっきまで冷蔵庫に入っていたためか、とても冷たい。
胃にしみこんでいくというよりも、肺に冷たいものが広がるような感覚をえて、ペットボトルのキャップをしめる。
頭が痛かったのが、まぁまぁ良くなった。
「最近、なんかあったのかよ」
名前も知らない男がなれなれしく話しかけてくる。
あたしの過去を知らないのに、わかったように聞いてくるのが一番、頭にくる。

