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古いボロアパートの2階への階段を上り終えて
玄関のドアノブに鍵をさして開ける。
「ただいま…」
8畳のたたみがあり、質素なお風呂とガスコンロがちょこんとおいてある台所がある。
ここに弟と二人暮らし。
きつくて不自由な生活だけど、家賃で助けられているこのアパートに文句は言えない。
部屋に電気がついていて、弟がいるということがすぐにわかる。
ソファに横たわっている弟が私に気付いて起き上がりながら、「おかえり」と言う。
あたしの弟――――― 高津 海
1コ下の高校1年生。
もう、バイトができる年齢だから、生活費を毎月きちんとはらってくれている。
毎晩バイトをしてくれて、あたしの心配もしてくれて本当にいい弟。
海がいてくれて本当によかったと、何度救われたことだろうか。

