『そういえば…』


そうだったそうだった、とあたしは郁を見る。


改めて見ると綺麗な顔してるなー…と首を傾げて、いや、馬鹿にしている目であたしを見る郁を見返す。


見た目はどっからどうみても中学生。


だけど後ろの黒い車…ベンツがあったり、よくよく見ればタキシード姿、というところを見ると、なんだか大人な気がして…


でも間をとって高校生な気もする。


『郁ってさ…』

「?なんだよ。」

『ち、中学生だよね…?』


恥ずかしくて顔をあげられないチキンなあたしを今すぐ殴りたい!


でも自分で自分を殴ったらそれは変だし、笑われるからやめるけど…


郁の顔をちらっと見れば、絶句…っていう顔をしていて…


『え、中学生じゃ…ない?』

「そう言うお前こそ、高校生じゃねぇのかよ。」

『あたしは中学生だよ?今年で中三。』

「はぁあああ!?俺だって中学生じゃねぇよ、高二だし。」


二人とも以外だったみたいで、お互い驚いたまま固まってしまった。


そんなあたし達を見てか、車から降りてきたどうやら郁の執事らしい人が「とりあえず…ご乗車下さいませ。」とドアを開けるのでしぶしぶ乗った。


郁はあたしの隣に座っていたけど、会話はなくて。


そういえばどこに行くんだ?と思っていると、物凄く綺麗な豪邸が目の前にあらわれた。…というか車でついた。