(やだ、ほんと、子供2号)

ちょっとだけ心が落ち着いて、覗きこんでジウさんの様子を観察してみる。

良く見ると、ジウさんはとても綺麗な顔立ちをしていた。

首が太いから気が付かなかったけど、以外に面長で、細くすっとした眉のしたに切れ長の大きな瞳、すっと通った鼻筋、きっと引き締まった口元。

あ、笑ってることが多いから、気が付かなかったんだ。

だって、笑ったジウさんは、前歯が一本抜けた間抜け顔で……

って、いけない、いけない、そんな風に言ったらいけないよね。

でも、だから親しみ易かったのかもしれない。

それに、この目がとっても優しいんだよね……

短く切りそろえられたジウさんの髪が、わたしの膝をチクチク刺してくすぐったい。

(ちょっと触ってみてもいいかな……)

そんな思いに突然襲われて、わたしが手を伸ばしたのは、ジウさんの唇。

わたしの指が触れるか触れないか、そんな所まで迫った瞬間、

<パクッ>

わたしの指はジウさんに咥えられた。

「キャッ!」

と、わたしはまたぞろ悲鳴には覚束ない、間抜けな声を出す。

「マキタベチャウゾ」

片目を薄っすら明けたジウさんが、小さな声で呟いた。

「いえ、駄目です」

わたしの返事に咥えられた指が離される。

(……やだ……もう……わたし何やってんだろ……)

わたしは必死に、本に意識を集中させようと気持ちを立て直していた。