一方通行か。あのときの私も一方通行だったのだろうか。交わっていたつもりになっていただけだったのか。


せっかくブルーな気分から脱出できたのに、またブルーになりそうだから考えるのをやめた。


さてと。先輩は伸びをして立ち上がった。私はまだ帰る気分になれなくて、座っていた。


「カエデちゃんが通った道は、研究室にいれば誰でも通るもの。

俺もね、先輩に励ましてもらったんだよ。だから辞めるなんて言わないで、明日も明後日もおいで。俺でよければ教えてあげるし、先生だって教えてくれるよ」

「はい。先輩のおかげで元気でました。私、これからも頑張ります。ありがとうございます」


先輩はにっこり笑って、じゃまたね。と言って歩きだした。