そこにいたのは、ただの白い子猫だった。 「ちっ」 男は舌打ちしてこっちを向いた。 背筋に悪寒が走る。 男が少しずつこっちに寄ってくる。 ふと、子猫が鳴いた。 可愛い声で。 あたしと男が同時にその子猫を見ると、どこかに逃げていってしまった。 …希望は、ない。