「席着けよー。」

先生が入ってきた。その声だけで激しく動く心臓。

ぎゅっと目をつぶって、「落ち着け」って何度も心の中で言う。


「3日後には、遠足があるけど、あくまで息抜きだからはしゃぎすぎないように。まぁでも、高校最後の年なんだから楽しめよ。」

いつも必要事項しか言わない先生が「楽しめよ」って言った。

みんなきっと驚いている。だって先生、超冷血教師だもん。


そんなみんなの反応も届いてないみたいで、いつものように教室を出て行った。


「なんか今日優しいっていうか、変じゃなかった、先生?」

なんて、先生が出て行ってから言われていた。



「飯島さん、遠足いっしょに行動しない?」

「え?」


パッと顔を上げると、その人は慌てて目線をあたしから机に向けた。

「あ、いや、…みんなでだよ。」

って笑うその人を見て、なんだか可愛くて笑えた。


安藤 たけし

あたしの左前に座るその人は、少し茶色い髪は地毛みたいで、短め。

多分モテる部類に入る人だ。