お弁当も、あんまり食べられなかった。


「飯島さん。」

朋ちゃんと廊下を歩いてたら、突然呼び止められた。振り返ると、小野田先生。


この学校で、先生と同じくらい有名な人。


整った顔で綺麗で品のあるお化粧に、スラッとした長い足。少し茶色くて、長い髪をいつもひとつにシュシュで括っている。

大人の女性ってまさにこんな人だと思う。



「はい?」

「ちょっと話があるから、放課後残ってくれるかな。社会資料室にいるから。」


ニッコリ笑って、歩いていった小野田先生。

何だろう??

あたし、小野田先生には社会、教わってないはずなのに。



「ひな、気をつけた方がいいよー。」

「え?何で?」

「だって小野田先生って言ったら噂絶えないじゃん。自分が担当するクラスに好みの男子がいたらアドレス聞かせるように誘惑する、的な。」