揺れはいつしか収まってきていた。

いや、自分の感覚が麻痺しているだけかもしれないが、今はほんの少しフワフワするだけだ。

テレビは全チャンネル砂嵐。
ラジオも然り。

携帯はさっき圏外になった


…ああ、ツッコミ所が多すぎる…。



私は一体どうなるんだろう。

もうすぐ模試があるのに。

まだ志望校の合格圏に届いていないのに。


「うう…私がこんな目に遭っている間にも他の受験生は私に差を付けていくんだ…。」

(※錯乱して受験の事しか考えられなくなっている。)



「お前のせいだぞピョン吉ー…。」

ピョン吉は非常に落ち着いていた。

この非常事態を理解していないだけだろうが、静かに座って私を見ている。

思えば、ピョン吉と面と向かったのは何時以来だろう。

前はよく愚痴や悩みをピョン吉に溢したりしていたが最近は全然だった。



「…そうだね。落ち着かなきゃね。」

ピョン吉の落ち着いた姿が励みになった。

そう、少なくとも、私は一人じゃないんだから。


飼い主が飼い犬より狼狽えてどうする!

落ち着こう!
何か道が切り開けるかも知れない!

深呼吸、深呼吸。
スー…ハー…。ヒッヒッフー…。


………。


…多分アレだ。
ここはもう寝るべきなんじゃないかなっ。

ドロシーだって寝てたけど無事だったもんね、魔女を殺めちゃったけど。

そうだ。寝よう!最近勉強で寝不足だし、いい機会じゃないか!

「よーしピョン吉、部屋に行こう。久々にサシで寝ようじゃないか。」

立ち上がった私にピョン吉は同意するように一度吠えて着いてきた。


ありがとうピョン吉。
今更だけど変な名前付けてごめんね。