この世界がいつからどのように存在していて、ライオンがいつ生まれたのかは知らないが、存在意義がかかっているという事はきっとこの為だけに生まれたんだろう。

そしてこの為だけにライオンになりきって恥もあるだろうにライオンパーカーを着て。

断ったら、そんな努力も存在意義も否定してしまう……


「……よろ、よろしくお願いします」

「おうよ」

と、ライオンは悪戯っぽく笑った。

やっぱり見た目は普通に男の子なので、きな子には直視し難い。

笑顔が自分に向けられている……今までこういうこと、あったっけ……



「おい猫、行き先分かるのか?」

「猫って言うな犬。この分かれ道は最終的にまた合流するんだ。どっちに行ってもエメラルドの都に繋がる」

そしてこの人(ライオン)も、リアルな犬が普通に喋ってる事になんの指摘もないんだな。
さっきの魔女たちもスルーだったし、割とこの世界じゃよくある事なのか?

「ただし、選んだルートによってイベントが違うぞ」


「……はい?」