片山駅のオススメ・230円



「あ、待った」


それからのことは、あまりにも突然だったからゆっくりに感じた


メロンパンを口に運ぶ私の腕が引かれる


アイツの顔がゆっくり近づいて


私が持っていたパンを食べた


唇が指に触れた


柔らかいその感覚に、胸がどきりと波打つ


そのまま目線を上げたアイツと目が合う


いつもとは違う、真剣な表情に頬が一気に昂揚する


絡んだ目がそらせない


だんだんと顔と顔が近づく


ゆっくり


でも、確かに。


近すぎて焦点が合わない


私は目を伏せた