「あ、待った」 それからのことは、あまりにも突然だったからゆっくりに感じた メロンパンを口に運ぶ私の腕が引かれる アイツの顔がゆっくり近づいて 私が持っていたパンを食べた 唇が指に触れた 柔らかいその感覚に、胸がどきりと波打つ そのまま目線を上げたアイツと目が合う いつもとは違う、真剣な表情に頬が一気に昂揚する 絡んだ目がそらせない だんだんと顔と顔が近づく ゆっくり でも、確かに。 近すぎて焦点が合わない 私は目を伏せた