走りながら、しろネコは、自分が自力でお屋敷を飛び出したことに少し驚きました。
それと同時に、それに気付いてしまったことをとても悔しく思いました。

高い塀の上に立ち、耳もしっぽもピンと立て、
しろネコはまたまわりをじっと伺いました。
すぐに、先ほどと同じ短い鳴き声が聞こえました。
しかし、その声は、今にも消え入りそうに小さく、かぼそくなっていました。
大きなしろネコは、大きな瞳をぐるりとさせて声のしたほうを探しました。

すると、高い塀の続くずっと先の所に、しましまの小さな体が、
まるで打ち捨てられたかのように、そこにあるのを見つけました。