少し、巧の目が潤んでいる。



――認めたくなかった。


それが現実でも、言葉に出さなければ少しは変わるかもしれない…。



そんな淡い期待を抱いていたから。





「――ふっ。

冗談言うなよ」



「!! 何が!?」





「好きな人に10円のチョコなんて渡さないって妃乃本人が言ったんだ!!

俺は妃乃の眼中に無いってことだろ!!?」





「照れ隠しに決まってんだろ!!?」