この近くには妹の千秋(チアキ)が入院している病院がある。


───今度、お見舞いに行く時に描いた絵、持ってってあげようかな。


千秋は生まれつき身体が弱く、幼い頃から喘息の発作を頻繁に繰り返していた。


そこで、3年前に千秋は空気の綺麗なこの都会から外れたのどかな風景の広がるところに建つ病院に転院した。


当時小学6年生になったばかりの千秋を、空気の悪い都会では暮らしにくいとはいえ、独り千秋だけこっちへ、というのも酷な話。


そこで、お母さんが千秋の傍につくことになった。