「…美桜さ、」 「ん?」 「好きな人とか…いんの?」 ───“好きな人”。 そう言われて、真っ先に脳に浮かんだのはさっきメールをくれた蒼空だった。 ………ううん、違う。 蒼空は私の好きな人じゃない。 蒼空は千秋の好きな人だ。 「いないかな」 「…そっか」 「たっちゃんは?」 「え?」 「好きな人。 たっちゃんはいないの?」 たっちゃんの好きな人…。 聞いたことなかった。 いるのかな、好きな人とか。