それでも、桜が嫌いになれなかったのは母からの遺伝だろうか。


だから、自分の名前はこれで結構気に入っている。


桜庭という名字も、美桜という名前も。



「わぁ………」



花びらが舞う方へ進めば、徐々に花びらの数も増す。


そうやって辿りながら行き着いたところには、やっぱり“綺麗”としか言い様のない景色が広がっていた。


桜の、儚く潔く、そして美しく、散りゆく様が好き。



「画題は…、これにしようかな」



画題は今、決まった。


この桜を描く。