そんなことは分かっている。 ───でも、小さい頃からよく“千秋になりたい”と思ったことが幾度となくあった。 「千秋ちゃんにひとつ年上でしょ?」 「そうだけど…」 「よく千秋ちゃんに聞かされるよ、お姉ちゃんの話。 “お姉ちゃんになりたいな~”ってよく言ってる」 千秋が、私に? …ああ、そうか。 千秋からしてみれば、何不自由なく暮らす私が羨ましいに決まっている。 でも、私からしてみれば逆に千秋が羨ましかったりするのだ。