「…この近くに桜の木があるってことだよね、これって」
「そりゃそうだと思うけど………。
…って、美桜ーっ!?」
「璃子ごめーんっ!!
集合時間には間に合うように行くから、ちょっと行ってくる!!」
私は無意識のうちに走り出していた。
───いい画題みーっけ!!
そんな思いもあった。
何より、私を駆らせたのはこの桜の花びら。
私の母は桜が大好きで、だから私を“美桜”と名付けた。
桜庭美桜、漢字で書くと桜で左右を挟まれていることから一時期男子に中の二文字で“庭美”って呼ばれてたこともあったっけ。
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