「失礼します…」 遠慮がちにドアを開けてみる。 すると、やっぱりそこにいたのはベットの上で身体を起こした蒼空だった。 「看護婦さんから私を探してたって聞いたんだけど…」 「ちょっと絵を見せてもらいたくて」 「…絵?」 「うん、あの桜の絵」 私は持っていたカバンの中から、あの桜の絵を取り出した。 それをおずおずと手渡す。 「───やっぱり好きだな。 お気に入りの場所だからかもしれないけど、この絵見てるとなんか落ち着く」