さくら ―余命3年の恋―




───困ってしまった。


早く帰って夕飯の支度をしないと、お父さんが帰ってくる時間までに間に合わないかもしれない。



「あっ、ちょっとすみません」



廊下から抜けて、中庭に出てポケットからさっきから振動を伝えていた携帯を取り出す。


ディスプレイには【お父さん】との表示。



「もしもし?」

『美桜、すまんがちょっと残業で遅くなる。
夕飯はテキトーに食べて帰るよ』

「分かった。頑張ってね」



───残業、か。


なんてタイミングなんだろう。