…いや、そうでもないかもしれない。 だって、私には絵があるから。 「千秋だって喘息が治まれば、普通の中学生になれるよ」 「お姉ちゃん、中学って楽しかった?」 「………うん、たぶんね」 「“たぶん”って何よ~」 ───そう、“たぶん”。 たぶん、楽しかった。 だけど、たぶん、楽しくなかった。 璃子と出逢えたのが中学での一番嬉しかった思い出。 それ以外には、目立っていい思い出もない。 地味な私には“絡みにくいから”とあまり友達がいなかった。