…はず、である。 「蒼空くん、この絵、すごく気に入ってたね」 「…そうかな?」 「うん。 …好きって言ってた」 ふと顔をあげて、千秋を見る。 寂しそうな顔をして、唇を噛みしめている。 両手で私のあの桜の絵を持ったまま───…。 「…そっか」 なんとなく、分かった。 ───千秋は、蒼空のことが好きなのだ。 学校にも行けず、この小さな病院で。 千秋は、小さな恋をしたのだ。 「お姉ちゃん…」 「うん?」 「好きな人、いる?」