さくら ―余命3年の恋―




…はず、である。



「蒼空くん、この絵、すごく気に入ってたね」

「…そうかな?」

「うん。
…好きって言ってた」



ふと顔をあげて、千秋を見る。


寂しそうな顔をして、唇を噛みしめている。


両手で私のあの桜の絵を持ったまま───…。



「…そっか」



なんとなく、分かった。


───千秋は、蒼空のことが好きなのだ。


学校にも行けず、この小さな病院で。


千秋は、小さな恋をしたのだ。



「お姉ちゃん…」

「うん?」

「好きな人、いる?」