「ありがとうございます。 それじゃあ、母も部屋に?」 「ええ」 「分かりました」 もう一度、「ありがとうございます」と会釈をして千秋の病室に向かう。 ───この小さな病院には、入院患者の方はたった10人ほど。 その割に広い院内は、開放的で外からの木漏れ日が何とも言えない雰囲気を醸し出している。 ───ガラッ。 千秋の病室のドアを開けて、中を覗いてみる。 「………あれ?」 そこには誰もいない。 千秋はもちろん、お母さんまで。