美しく咲き誇る桜。 こんな女の子になってほしいという願いを込めて、お母さんは私を“美桜”と名づけた。 ───実際は、こんな綺麗な女の子になれてないけど。 「うん、俺も好き」 「…よく見に来るんですか?」 「どうだろ?」 「訊き返されましても………」 飄々とした雰囲気を纏った彼は、顔は笑っているものの瞳の奥は笑えていない気がした。 独特の雰囲気で、初めて逢うタイプの男の子。 「そろそろ時間じゃない?」 「…はい?」