「……兄上、お連れの方がお待ちみたいですけれど」 和早の視線の先には、待ちくたびれたように木へともたれ掛かる男がいた。 「あ、忘れてたよ。…和早、君は京に住んでるの?」 「ええ、まあ」 男所帯…それも新選組にいるとは死んでも言えないけれど。 「じゃあ、そのうちまたあえるかな。じゃあね和早!」 「あ…、はい」 あいかわらずの兄に安堵しながらも、和早の心はどこか騒いでいた。