「と…、君は…」



和早を解放した兄がようやく藤堂の姿に気付いて小さく首を傾げた。



「ええと、彼は…」

「藤堂平助といいます。お見知り置きを」



藤堂らしくもない低い声音に、笑顔が張り付いていた。



「藤堂君ね。私は新崎有真(ゆうま)。和早の兄です」



裏表のない笑顔で藤堂に握手を求める有真。その手を、藤堂が握る。