いろいろな意味で「生涯でこれほど執着したことはない」と言える想い人と上司の祝言の翌日。

朝日を浴びて起床した早々、沖田は頭痛と自己嫌悪に悩まされることとなった。


「くそ……、僕としたことが酒に呑まれるなんて」


後悔と言うより自己嫌悪である。

時間が経過すればするほど鮮明に思い出される昨夜の己の醜態に、沖田は溜め息をついた。


(確かあの後、誰かに運ばれたような……)


肩に回った腕の感触までは覚えている。

しかし、それが誰かまでは何故か全く思い出せない。

しかも……。


「ちっ、頭が割れる……」


二日酔いのせいでがんがんと唸る頭を抑え、表情を歪めながらも状況を把握すべく辺りを見回す沖田。

その結果判明したのは、ここが見知らぬ部屋で、しかもこの家の家主は十中八九「憎き土方」だという真実だった。