残る弾丸は一発。 「ちっ…」 和早は自らが殺した敵兵の死体を一瞥し、舌打ちをした。 退却した旧幕軍を追ってほとんどの新政府軍はこの場を去ったのではと踏んだが、甘かったらしい。 残党を殺すためなのだろう。 雑木林を出た瞬間、二十人近くの歩兵に囲まれたのだ。 「…おい、大丈夫か?」 「土方さんこそ腕、もう動かないみたいですけど」 目立たぬよう戦地の隅を駆けながら互いの状態を確認。 言わずもがな、もう戦える身体ではなかった。