流華の楔





『トシ! お前が新崎君の隣にいてやらんで誰がいる!』

『しんざき…? っ、あ…』



新崎……新崎、和早。

そうだ、己は今、こんな所にいるべきではない。


己がいるべきなのは、あいつの、和早の隣。



…馬鹿か俺は。

そんなことも忘れて、思い出に耽って。



『すまねぇ近藤さん、俺行くわ! 今度会うときは地獄、かもな』

『うむ。存分に暴れてこい!』



満足気に笑う近藤の姿が次第にぼやけていく。

…嗚呼、良かった、戻れるんだ。



『近藤さん…』



ありがとよ。


最後の言葉は、地獄で再開してから言おう。