流華の楔





「って、和早ちゃん、その服…!」


大鳥が目を見開く。
それもそのはず、彼女が着ていたのは土方の洋装である。

…まさか。


「囮になるつもり!?」

「いや、今更ですか。こんなの子供騙し程度の小細工ですよ。別にいいでしょう」

「そうだけど…! 土方君の代わりに死のうとか思わないでね!?」

「………」

「えええーっ!? 何その沈黙やめてよ!!」



…きりがない。

内心「耳がイカれる…」と思いつつ、和早は大鳥に背を向けた。



「ちょ、ちょっと待ってよ…!」

「私が死んだら、よろしく伝えてください」



騒ぐ大鳥に、人生で何度目かわからないその台詞を残して。