「頑張ったな」


全てを語り終えた和早にかけられた言葉は、非難でも同情でもなかった。
しかも子供のように頭を撫でられるという失態。

…この男、確信犯か。


「お、おい泣くなよ…別に子供扱いしたわけじゃ…」

「は? 泣いてませんけど」

「嘘つくな。じゃあこれはなんだ?」


和早の頬を滑った指についた涙を見せつけ、土方は勝ち誇ったように笑む。


「…その性格直した方がいいですよ。絶対嫁に嫌われますから」

「それなら問題ない。お前が相手だからな」

「はあ……?」


つくづく自信過剰な男だ。

そう思いつつも、かなり真面目に言っているらしい土方を前に否定する気も失せていく。



「(……は! これはまさか…)」


どうやら己は“はまってしまった”らしい。