流華の楔





「はーいおめでとう二人ともー」



音もなく現れた第三者の声に、土方は慌てて和早から離れた。

その正体を確認するがいなや和早は彼に張り付いた笑みを向ける。



「大鳥さん、あなたって人は…もう少し大人になったらどうです」

「あれ。僕もしかしてお邪魔…」

「人を騙すなということですよ!」


と和早は叱責するが、これが大鳥に効くかは別である。

現に大鳥は楽しそうな表情を崩さない。


土方はひとり「こんなんで俺の上司とはな…」とぼやいた。



「土方君は良かったと思うでしょ、僕の策」

「おかげで焦ったがな」


く、と口角をあげて土方は言った。


まんざらでもないらしい。