流華の楔




「どうしたんですか大と…」

「大変なんだ! 土方君が落馬して意識が戻らないってーっ!」

「…っ」


言葉より先に、足が動いた。

あの土方が落馬して死ぬなんて馬鹿はしないと思うが。


それでも、失いたくない。



「場所は!?」

「あ、場所は医務室ね! あと何があっても僕を責めないでね!」



大鳥の(意味のわからない)声が遠ざかる。

部屋を出て、別館にあるという医務室を目指した。





「…、死んだら許しませんよ」



心を支配するのは焦燥。


ようやく長い廊下を抜けて、医務室の扉を勢いよく開けた。