流華の楔




***



「ほんとに君って素直じゃないねー」


土方の部屋を出たすぐ後、いきなり現れた大鳥にそんなことを言われた。

聞き耳を立てていたらしい。
その辺り、どこぞの誰かに似ている気がする。


「捻くれ者で結構」

「えぇ? 別にそこまで言ってないじゃん!」

「言っているようなもんですよ」


ぴしゃりと言い放てば、大鳥は子供のように「むー」と頬を膨らませた。

これでも歳は土方の二つ上で能力もある。

性格がこんなでなければ尊敬に値する人物なんだが、もったいない。


「でもさー? 君って真面目っていうか、女にしては珍しいくらいクールだよね。葵ちゃんの時は可愛いけど!」

「冷たくて結構」

「なんでいつもそうやってズバズバ斬り捨てるのさ! 美人が台無しだ!」

「……」


…うざい。

結局何が言いたいんだこの人は。