「待て!」
聞き覚えのある透明な声が、緊迫した空気を破る。
今にも近藤の首を切り落とさんとしていた刃は指一本分を残して止まっていた。
辺りが騒然とする中、沖田と藤堂は声の主を探す。
渦中の人物は、やはり。
「…っ、和早さん!」
「嘘、なんで新崎が…?」
沖田は地に崩れ落ち、藤堂は瞠目する。
彼女はあろうことか政府の重役に刃を向けていた。
捕まれば、処刑だ。
「新崎君…!?」
何故来たんだと言わんばかりの近藤。
咎めるようなそれにも和早は眉ひとつ動かさず重役を見据え続ける。
その様子はまるで、心が抜け落ちた傀儡のようだった。
