「土方さん、これは怪我のうちに入りません」 これが怪我なら普段の斬り合いで負うあれは何だということになる。 和早は大丈夫だとでも言うように腕を軽く振って見せたが、土方は納得しないようで。 「馬鹿…芹沢さんの鉄扇を直に受けたんだろ。無茶しやがって……骨がいっちまってもおかしくなかったんだぜ?」 「でも、あの時はそうするしかなかったんですよ…」 己は最善の処置を取ったまで。 鉄扇で殴られる寸前の呉服屋の女将を守るには、刀を握るだけの時間と余裕が足りな過ぎたのだ。