流華の楔





「嘘ついても無駄ですよ。…伏見での戦の時、全て見ましたから」

「……そうですか。相変わらず気配を消すのがお上手なようでなによりです」



その時、沖田の唇が弧を描く。
企みが成功した瞬間のような、不敵な笑み。


謀られたのだと気付いたときにはもう遅かった。



「あははっ、本当でしたか。で、何言われたんです? もしかして何かされました?」

「……はぁ」


もはや溜息しか出ない。

謀る立場の己がよもやこんな男に謀られるとは、立つ瀬がなくなった。



「ずっと気になってたんですよねー僕」


沖田の指が和早の唇をなぞる。

後退しようとしても片腕で拘束されていて不可能だった。



「どうして土方さんや斎藤君があなたにこだわるのか」


探るような瞳。


既視感を覚える。

最近こういうの多いな、と思った。