早い話、近藤の発言は本心ではない。
そのくらいあの二人もわかっているだろう。
「嘘をついてでも、護りたいものがあったということです」
空を仰ぐ。
曇り空。
視界の真ん中に、竹とんぼが過る。
沖田が飛ばしたらしい。
「嘘ね……そういう人なんですよ、あの人は」
苦笑を漏らす沖田。
昔からそうだった、と呟いた。
でも、と和早。
「まさか、私たちが資金調達に出ている間にそんなことがあったとは…」
沖田と和早。
比較的手の空いた二人が組み、昨日まで軍資金の調達に奔走していた。
幹部の離脱という一大事。
立ち合えれば良かったのだが。
「新八さんも左之さんも、一度こうと決めたら覆しませんからねぇ…」
「…ええ」
しみじみと言う沖田に和早は頷いた。