「…頼む。あんたにはこれ以上戦ってほしくないんだ」
強く引き寄せられ、抱きしめられた形で耳元へ。
和早にとっては残酷な言葉。
戦う以外の選択肢など、持ち得ないのに。
「私の役目は、仲間の代わりに傷を負い、主の為に死ぬこと」
その「仲間」でさえ、己は裏切っているかもしれないのに。
斎藤の優しさは、やはり残酷だ。
「だから、私はこれで幸せなんです」
「…俺は嫌だ。あんたが傷つくところなんて見たくない」
震える声。
憂いに満ちた、漆黒の瞳。
「そんな幸せ、俺が認めない」
そのどれもが、己を惑わせる。
メニュー