「お前に、女装をしてもらいたい」

「……は?」

「あ、いや、間違えた…ごほんっ、本来の格好をしてもらいたい」

「あー…」



別に言い直さなくても良いのに。
なんだ、この気まずい空気。



「えーと、今ではなく…伊東粛清の日なんだが…」



土方が言うには。
伊東を暗殺する前に近藤の妾宅で酒を飲ませる手筈になっているが、さすがに妾本人を出席させるわけにはいかないので代わりの女を、との事。

とにかく、伊東の警戒を解くために女は必要不可欠らしい。



「私は良いですが……ばれませんかね」

「いや、ばれてもかまわねぇんだ。近藤さんがうるせぇから仕方なくってだけでな」

「そういう事なら構いませんが」

「……ありがとう」



土方はほっとしたように笑い、暗がりでもわかる程度に頬を染めた。