「くっくっく……胸中荒れておるな、長の器を秘めし者よ」 何処ぞからねっとりとした声音が和早の耳に届いた。 嫌な予感がしてすかさず振り向けば、黒の衣装に笠を深く被った僧侶がひとり。 「お前は……、燕尚か」 忘れもしない。 和早にとって腐れ縁ともいえる年齢不詳の僧侶、燕尚(えんしょう)である。 自称「封魔師」らしいが真実は定かではない。 和早が長州にいた頃からふらりと現れては予言やら呪詛やらを仕掛けていく怪しい僧侶だとは思っていてが、ここに来てまで出会うとは。