流華の楔







和早に促された隊士は、慌てて姿勢を正し――、







「一度、俺の妹に会って頂けませんでしょうか!」



と、叫んだ。

当の和早は予想外の申し出に困惑し、沈黙する。





「お願いします! 妹が、一度でいいから新崎さんに会いたいと……!」


「っ、わかった…わかったから、そう叫ばないで貰えるか…」



和早は焦った。
あの人に聞かれたらなんと言われるか、わかったものではない。

どこぞで聞き耳を立てているやもしれぬというのに……。





「……新崎クン、何をそんなに慌ててるんです?」


「なっ……」






沖田の黒い笑みが間近にあった。




懸念した傍からこれだ。

この俊敏さ……というか好奇心をもっと別の場面に生かせないのかと思う今日この頃である。




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